レジリエンス法律事務所

2025/8/9

  • 法律コラム

  • 事業承継

従業員承継とは?親族承継との違い|中小企業が知っておくべきポイント

目次 _______________________________

―中小企業の事業承継における法的留意点―

中小企業の経営者にとって、事業承継は「最後の経営判断」とも言える重要な局面です。近年、親族以外の承継方法として「従業員承継」が注目されています。本稿では、法律事務所の視点から、従業員承継の特徴と親族承継との違いを整理し、承継に向けた実務的な留意点を解説します。


1. 従業員承継とは

従業員承継とは、企業の役員や幹部社員など、社内の人材に経営を引き継ぐ方法です。親族に適任者がいない場合や、従業員の能力・意欲が高い場合に選択されます。

法的観点からの特徴:

  • 株式譲渡契約の締結:経営権の移転には、株式の譲渡が不可欠です。譲渡価格の算定や契約内容の精査が必要です。

  • 経営権と所有権の一致:従業員が経営者となる場合、株式の取得資金調達(MBO等)に課題が生じます。

  • 労働契約との関係:従業員が経営者になることで、雇用契約から経営責任へと立場が変化します。

参考:中小企業庁「事業承継ガイドライン」
👉 事業承継ガイドライン(PDF)


2.  親族承継との違い

親族承継は、経営者の子や配偶者など、血縁関係のある人物が事業を引き継ぐ方法です。従業員承継と比較すると、以下のような違いがあります。

比較項目

従業員承継

親族承継

承継者の関係

社内の役員・幹部社員

経営者の子・親族

株式譲渡の方法

売買契約による譲渡(資金調達が課題)

相続・贈与による移転(税務対策が必要)

経営ノウハウ

実務経験あり

未経験の場合もある

法的手続き

MBO・株式譲渡契約・金融機関との調整

相続税申告・贈与契約・遺言書の整備


3. 法律事務所が見る従業員承継の留意点の一例

3.1  株式譲渡契約の整備

  • 株式の評価方法(DCF法・純資産法など)を明確にする

  • 譲渡制限条項の有無を確認し、定款変更が必要な場合も

3.2 事業承継税制の活用

  • 非上場株式の贈与・相続にかかる納税猶予制度

  • 特例承継計画の提出期限(令和6年4月1日施行の改正施行規則では2026年3月31日)に注意

参考:中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」
🔗 法人版事業承継税制(特例措置) - 中小企業庁

3.3 従業員との信頼関係の維持

  • 従業員承継では、社内の人間関係が経営に直結するため、承継後の組織体制や役割分担の明確化が不可欠です。


4. よくある失敗とその対策|従業員承継の落とし穴を防ぐ

従業員承継には、企業文化の継続性や実務経験の面で優れる一方、準備不足により経営が不安定になるケースもあります。

失敗例① 経営方針の不一致

譲渡契約に企業理念の継続条項がないと、承継後に方向性のズレが生じる可能性があります。
対策:契約に「経営方針の継続」条項を明記。

失敗例② 従業員間の対立

役割分担が曖昧なまま承継が進むと、社内の摩擦が生じます。
対策:新体制の組織図や役職を明文化し、合意形成を図る。

失敗例③ 金融機関の支援停止

後継者の信用力不足により、融資姿勢が変化することも。
対策:事前に承継計画を提示し、支援体制を構築。


5. 従業員承継のチェックリスト

  • □ 後継者の選定と育成は済んでいるか

  • □ 株式譲渡契約の内容は法的に問題ないか

  • □ 定款に譲渡制限があるか確認したか

  • □ 金融機関との承継後の関係は構築済みか

  • □ 事業承継税制の適用可否を検討したか


6. 弁護士が支援できること|専門家との連携が成功の鍵

従業員承継には、株式譲渡契約の作成、税務対策、定款変更、金融機関との調整など、複雑な法的手続が伴います。弁護士は、示談交渉のプロとして、異なる見解を有する紛争当事者の調整役を日常的に担っておりますので、異なる価値観を有する経営者と後継者の橋渡し役として、円滑な承継を支援することが可能です。

事業承継は「準備がすべて」です。
ぜひ早めのご相談をおすすめします。


7.ご相談は当事務所へ

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三重県四日市市を拠点とするレジリエンス法律事務所では、事業承継に精通した弁護士が、経営権の移行に伴う株式譲渡契約・役員変更・保証解除・定款の見直し・信託の活用など、幅広い法的課題に対応しています。

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【免責事項】
※本記事は、記事掲載日現在の法令・判例等に基づき、一般的な法的知識を提供することを目的としたものです。
※個別の事案における法的判断は、具体的な事情により異なる場合がありますので、本記事の内容は、特定の事案についての法的助言を提供するものではありません。
※本記事の内容については、正確を期しておりますが、将来の法改正や解釈の変更等により修正が必要となる可能性があります。
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